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博士課程進学、3割がキャリアや収入への影響を懸念(文科省調査)02/02/2023
文部科学省直轄の国立試験研究機関である科学技術・学術政策研究所は、2023年1月31日、第2回となる「修士課程(6年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査(令和3年度修了・卒業予定者)」の結果を公表した。調査は、博士(後期)課程に進学する前段階である修士課程(6年制学科含む)の修了・卒業者(予定者含む)12万5,028人を対象に行ったアンケート結果をとりまとめたもの。調査期間は2022年1月16日から2022年3月8日。有効回答数は1万7,525件。
国内の修士課程修了者の進学率は、経済的理由やキャリアパスへの不安、期待に沿わない教育研究環境等の理由から、2000年度は16.7%、2021年度は9.7%と減少傾向が続いている。科学技術・学術政策研究所では、2020年度から修士課程在籍者を対象に在籍中における経済的支援状況、進路状況、博士課程への進学率を向上させるための政策等について調査を行い、今回は2回目の調査結果を公表した。
調査によると、博士課程進学ではなく就職を選択したおもな理由は、「経済的自立」「社会に出て仕事がしたい」等が過半数を占めた。一方で、「生活の経済的見通しが立たない」「修了後の就職が心配」「博士課程の進学のコストに対して生涯賃金等のパフォーマンスが悪い」等、進学がキャリアや収入にネガティブな影響を与えることを懸念する回答が3割以上にのぼった。
在籍中に授業料減免措置受けているのは、全体の21.2%。学生類型別では、外国人学生62.5%がもっとも多く、課程学生18.2%、社会人学生12.3%、6年制学生11.5%と続いた。減免措置の総額は、「50万円以上70万円未満」21.0%、「30万円未満」20.2%、「120万円以上」19.2%の順であった。
返済義務のある奨学金・借入金があると回答した者は全体の33.7%。学生分類別では課程学生が43.6%ともっとも高く、6年制学生30.4%、社会人学生16.2%、留学生6.4%と続いた。借入金額は全体では半数近い45.2%が300万円以上と回答している。
在籍者の視点から博士課程への進学者を増加させるために効果的だと思う政策には、「博士課程での給与支給」「若手研究者(博士後期課程学生含む)の研究環境改善」「産業界における博士取得者に対する給与等処遇改善」等の意見があがった。