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【大学受験】総合型選抜の効果を検証…文科省が報告書01/05/2024
文部科学省は2024年4月26日、「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」報告書を公表した。
総合型選抜の導入率は、大学85.6%、短大95.1%。導入の効果は、大学、短大ともに「受験者の多面的・総合的な評価」、課題には「評価する観点の設計が難しい」が多くあがった。
総合型選抜は、入学志願者の能力・意欲・適性などの多面的・総合的な評価により適していると言われている一方、ほかの選抜方法より評価する観点の設計や実施体制を整える人員の確保が難しいという意見もある。制度導入から20年超を経過し、総合型選抜の成果と課題を分析するうえでの基礎資料にするため、調査を実施した。
「大学入学者選抜における総合型選抜方法導入に関するアンケート調査」は、2023年9月2日~2024年1月22日、国公私立大学782機関、公私立短期大学290機関を対象にメールで実施。「大学入学者選抜における総合型選抜方法導入事例に対する面接調査」では2024年1月15日~3月18日、旧AO入試の早い時期から総合型選抜を導入する大学、総合型選抜導入に積極的な大学など、14大学を対象にオンライン面接を行った。
アンケート調査によると、総合型選抜の導入率は、大学85.6%、短大95.1%。大学の導入率を設置主体別にみると、国立大学78.0%、公立大学43.6%、私立大学93.4%。大学、短大ともに私立の導入率が高く、公立の導入率が低い。
導入の目的は、大学、短大ともに「学力の評価だけではなく、受験者を多面的・総合的に評価する選抜を実施するため」がもっとも多く、「アドミッション・ポリシーに適った入学者をより丁寧に選抜するため」「主体性・多様性・協働性をもって学ぶ姿勢や態度をもつ入学者を選抜するため」と続いている。
導入の効果は、大学、短大ともに、「他の選抜方法と比較して、受験者を多面的・総合的に評価する選抜を実施できた」「他の選抜方法と比較して、学力検査を重視した入試では選抜できない資質をもつ入学者を選抜することができた」とする回答が多い。
導入の課題は、大学、短大ともに、「他の選抜方法より、評価する観点の設計が難しい」が最多。ついで「他の選抜方法より、選抜に関係する業務時間の負担が大きい」「他の選抜方法より、評価結果の点数化が難しい」という結果になった。
総合型選抜の導入を迷っている大学に対する推奨度を0~10で尋ねた結果、「大変推奨する」(推奨度10)は大学全体で7.3%、国立大学全体で7.8%。全体的にみると、総合型選抜を導入する大学の半数以上が推奨する結果となった。その一方、国立大学で「どちらでもない」(推奨度5)が51.6%を占めた。短大では、公立短大の推奨度が低く、「どちらでもない」(推奨度5)が66.7%にのぼった。
面接調査によると、大学が育成したい人材像、選抜したい人材像を明確にデザインし、学ぶ人材の多様性を担保するため「尖った人材」「伸びしろ(本質をとらえる能力)を感じられる人材」などに着目した選抜が展開されていた。入学後も丁寧に資質の深化、醸成に努めた結果、学生や就職先企業などの満足度が高いという事例報告があった。
その一方、募集倍率において入試の選抜性を失っている大学が、入学者確保のために総合型選抜を導入しているケースもあった。私立大学では、一般選抜が機能している一部の大学を除き、ほとんどが年内入試にシフトせざるを得ない状況にあり、事例調査でも多くがその点を認めているという。また、「教・職協働体制」「職員を中心とする書類選考査読体制」「専門人材」などを導入して、教員の負荷軽減に努める事例もみられた。